2011-11-23

Viking & Medieval Norse Studiesのプロモーション



Medieval Icelandic Studies の後継コース、Viking& Medieval Norse Studies(2年間のMAプログラム)のプロモーションビデオがYouTubeにアップされた。
たどたどしい自分の英語インタビューはすこし抹消したいが、コースの特長をよくあらわした良い動画なので、宣伝したい。

ほかの子たちが言っているように、マニュスクリプトに自分で触って読みかたを習える機会はとてもエキサイティングである。
「北欧学界のロックスター」のような名の知れた学者たちと一緒に毎日コーヒーを囲むという経験もまた、エキサイティングにちがいない。
トルヴィ (Torfi Tulinius) やヘルギ (Helgi Þorláksson) をファースト・ネームで呼ぶのには、当初かなり抵抗を覚えたけど。


前にもコースの紹介を書いた。2012年からついに始動する。

2011-07-26

International Medieval Congress in Leeds 2011

2011年7月11日〜14日、英国リーズで毎年開催される国際中世学会で発表をしてきた。

もう来ることは無いかもしれないと思ったので、自分の発表日だけではなくフル参加した(夏休みだし)。
ただ、気合いの入った参加記などを書こうとすると時間がいくらあっても足りないので、写真だけでものせておこうとおもう。
ボディントン・ホール(メイン会場)

2011-07-20

研究補助ツール

自分の使っているパソコンのアプリケーションについて他人に宣伝したことはあまりない。聞かれれば紹介するけど、自分はコンピュータにもネットにも精通しているわけではないし、どんな「ツール」を便利だと感じるかは個人差が激しいものなので。

ただ、最近はあまりに便利なツールが無料で転がっていて、じつはそういうツールを使おうとすると、抽象的な使用法説明よりも実際の「使用例」のほうがよっぽど役に立つことに気づいた。 
けっきょく、実際にしばらく使ってみなければ、自分に合っているのかどうかなんてわからないので、最初は誰かのやり方をそっくり真似してみて、慣れてきたら自分の好みに合わせてカスタマイズしてゆく、というやりかたが近道なのだと思う。

というわけで、「使用例」がたくさんあったほうが誰かの役に立つかもしれないので、少し自分の場合を紹介したい。

2011-07-05

女性研究者のキャリアパス

授業にもアイスランドにも関係ないのだが、購読しているブログで気になる記事があったのでメモ。

鶏が先か卵が先か:女性研究者採用について
アファーマティブ・アクションを導入したら逆差別が起こるのは必然では?

ブログの内容は女性研究者採用優遇政策に関する是非を問うもので、ブログ主さんの主旨は至極真っ当だと思う。

2011-06-10

ヴァイキング&中世北欧学修士課程(2年)

Einhamar in Gísla saga
前にも紹介した、間スカンディナヴィア的な「ヴァイキング&中世北欧学修士課程」は2012年秋からスタートする。
そのための準備が、いま着々と進んでいるようだ。
HPもでき(まだ情報は少ないが)、ここからパンフレット(PDF)をダウンロードできる。

パンフレットによると、一年目はアイスランド大学でコースワーク(60単位)をこなし、2年目の秋学期はオーフス大学・コペンハーゲン大学(デンマーク)、オスロ大学(ノルウェー)でコースワーク(30単位)を終え、最後の春学期は上記4大学のどこかで修論(30単位)を書くというスケジュールらしい。

「間スカンディナヴィア的」とは言ったが、スウェーデンとフィンランドが参加していないところに「ヴァイキング&中世北欧学」への距離の違いを感じる。ウップサラ大学くらい参加しても良かったのではないだろうか。

入学出願の〆切は2012年2月1日。興味のある方はぜひ応募してみてください。

2011-05-17

drápin

最近、立て続けに2件、殺人事件と殺人未遂事件があった。
Man_Arrested_for_Attempted_Murder_of_His_Wife
Man_Confesses_to_Murdering_Mother_of_His_Child

少し前にも、ハフナルフィヨルドで片思いの相手の婚約者を殺害した事件があった。年明けだったか、去年の話だったか記憶が曖昧だが。
アイスランドでは、殺人事件なんて年に一回あるかないか、という頻度だったのに。

25歳の男性が、2年間「同棲」("í sambúð" にあるカップルには、法的に結婚とほぼ同様の権利が認められている)していたパートナーを殺害した事件は、女性の方が男性と別れて、2歳の子どもを連れて海外へ移住しようとしたことに反発しての犯行らしい。

たまたま事件が続いただけかもしれないが、窃盗や強盗、誘拐などの事件は、経済危機以降やっぱり増加傾向にあるらしい。
あまり単純化するのは危険だが、アイスランドもやはり変わってゆかざるをえないのだろうか。

2011-05-07

Jónsbók

夏!
気温が12℃で「夏が来た!」と思うのは大分感覚が狂っている気がする。

授業も終わり、いよいよ本格的に修士論文に取り組まなければならないのだが、いろいろと雑事が多くてなかなか進まない。論文執筆のたった3ヶ月のためにも滞在許可証の更新が必要とか、本当に勘弁してほしい。

そして『ヨーンスボーク』がなかなか読み進められない。今までサガばかり読んできたツケが…。
それでも最近(2010年12月)、英訳が(何故かドイツで)刊行されたので、大分状況はマシになった。
»The Laws of Later Iceland: Jónsbók: The Icelandic Text According to MS AM 351 fol. Skálholtsbók eldri. With an English Translation, Introduction and Notes by Jana K. Schulman (Bibliotheca Germanica Series Nova, Vol.4). Saarbrücken: AQ-Verlag. 2010.
出版社のHPで12頁までプレビューできる。

これは見開きの左側に原文テクスト、右側に英訳という対訳形式なので初学者にも親切。
ただ、テクストが Diplomatic level(略字の展開を斜体で表すなど、写本の特徴を残した表記)なので、写本のトランスクリプションをやったことのない人にはちょっと取っつきにくいかも知れない。
自分もパレオグラフィはこちらに来てから勉強したので、Diplomatic levelなどの用語を日本語でなんと言うのか全然わからない。
西洋中世学入門』くらいは持ってくるべきだった。

2011-04-18

The HÍ Student Conference on Old Norse and Related Subjects

……4月?
今日は研究会があった。
MISの生徒と、「古北欧宗教学」修士課程の生徒が協力して企画したもの。
プログラムは以下の通り。
  • 10:30 - Richard Allen - The Viking Psycho: Did Egill Skallagrímsson Suffer From Psychopathy?
  • 11:00 - Marion Poilvez - Sudden Romance: why the Spesar þáttr?
  • 11:30 - Bernhard Luxner - How to do things with Hrafnkell: Speech Act Theory and the Íslendingasögur
  • 13:10 - Gerður Halldóra Sigurðardóttir - Places of the Dead in the Icelandic Sagas and Other Old Norse Texts
  • 13:40 - James Andrew Cross - Editorial Choice in the Codex Regius
  • 14:10 - Chad S.D. Laidlaw - The Evolution of You: Development of <þér> and <þit> in Old Icelandic
  • 15:00 - Michelle Louise Bethell - Skaldic Verse and European Influence: on Satan and Structure in the fourteenth-century Lilja
  • 15:30 - Andrew McChesney - The Mighty Basher of Trolls in a Dress: Þórr as a Comic Hero in Þrymskviða and Útgarða-Loki
  • 16:00 - Miriam Mayburd - A Forgotten God? Heimdallr as a Primordial Cosmic Being

2011-04-16

Morkinskinna

「アイスランド古典叢書」シリーズの『モルキンスキンナ』が、ようやく刊行された。
商品ページ(Eymundsson bookshop)

2巻本。2009年の年末に出るという話を聞いてから、ずいぶん経った。
先週は大学の書店に並んでいなかったのでまだ買っていないが、 注文は出来るようだ。
大学書店

2011-04-08

"MA in Medieval Icelandic Studies" í framtíð

「中世アイスランド学修士課程」の未来
---

今日は後期の授業最終日。午後には、コースの先生と生徒で、総括のミーティングが持たれた。
それについて、少し思うところがあった。

2011-03-26

Themes in Icelandic Archaeology - Gavin Lucas

気づけば前回の投稿から2ヶ月も経っていた。

まず、東日本大震災によって亡くなられた数多くの方々のご冥福を、心よりお祈りいたします。
海外という安全圏にいる身で、大切な人、家や財産、思い出をなくされた方々、今も苦しい状況で闘っている方々へ掛けるべき言葉もありませんが、ただただ一日も早く、平穏が戻ることを願っています。

ーーー
「アイスランド考古学の諸問題」

ゲヴィン・ルーカスというイギリス出身の考古学者が講師。
授業は英語だが、奥さんはアイスランド人で在氷歴も長いので、アイスランド語はふつうに話せるようだ。
生徒も5〜6人(すべて女性)で、私ともう一人のアメリカ人以外はアイスランド人だったので、ディスカッションなんかでは時々アイスランド語も飛び交っていた。

スカンディナヴィア考古学は有名だし従事者も多いが、「アイスランド考古学」とはどんなものなのだろう、と思って取ってみた。
授業のトピックは以下の通り。

1. 概説
2. 考古学と歴史学(事例:アイスランド植民の年代同定)
3. ナショナリズムと民族性(事例:アイスランド人の起源)
4. 理論的傾向(事例:環境考古学)
5. 考古学と民族/民俗学
6. 考古学の組織化

2011-01-26

Torfi H. Tulinius - Samband við framliðna á miðöldum

明日のアイスランド語の授業の課題が、午後10時を過ぎてもアップロードされない。
予習無しで政治やニュースについてアイスランド語で話すのは無理なんですけど。

それはそれとして、今日はトルヴィの授業があった。
題して「Living with the Dead」(シラバス

異教時代からキリスト教時代にかけて、アイスランド人、スカンディナヴィア人の死者への態度、埋葬方法や死後の世界観から動き回る死者とのつきあい方まで扱われるようだ。
とくに死者の登場が多い「エイルビュッギャ・サガ」 が毎回採り上げられている。

2011-01-17

Helgi Þorláksson - Ísland og konungsvald

新学期の初めの一週間が終わった。
まだどの授業を取るか、決めかねている部分もあるが、今期はMIS以外の授業を多く取ることになりそうだ。
とくに、アイスランド語で教えられている授業にも出てみようと思っている。

そのひとつが、ヘルギ・ソルラクソンの「アイスランドと王権」という講義(シラバス)。
1100年〜1700年頃を対象に、アイスランド人と王権の関係、王権観の発展などを扱う、学部・大学院の共通講義。

Get Zotero