2011-04-18

The HÍ Student Conference on Old Norse and Related Subjects

……4月?
今日は研究会があった。
MISの生徒と、「古北欧宗教学」修士課程の生徒が協力して企画したもの。
プログラムは以下の通り。
  • 10:30 - Richard Allen - The Viking Psycho: Did Egill Skallagrímsson Suffer From Psychopathy?
  • 11:00 - Marion Poilvez - Sudden Romance: why the Spesar þáttr?
  • 11:30 - Bernhard Luxner - How to do things with Hrafnkell: Speech Act Theory and the Íslendingasögur
  • 13:10 - Gerður Halldóra Sigurðardóttir - Places of the Dead in the Icelandic Sagas and Other Old Norse Texts
  • 13:40 - James Andrew Cross - Editorial Choice in the Codex Regius
  • 14:10 - Chad S.D. Laidlaw - The Evolution of You: Development of <þér> and <þit> in Old Icelandic
  • 15:00 - Michelle Louise Bethell - Skaldic Verse and European Influence: on Satan and Structure in the fourteenth-century Lilja
  • 15:30 - Andrew McChesney - The Mighty Basher of Trolls in a Dress: Þórr as a Comic Hero in Þrymskviða and Útgarða-Loki
  • 16:00 - Miriam Mayburd - A Forgotten God? Heimdallr as a Primordial Cosmic Being
発表者はおもにMISと「古北欧宗教学」の修士課程の学生。聞きに来たのも、2~3人名の先生のほかは学生だったが、これまで、何を研究しているのかよく知らなかったクラスメイトの考えが聞けて面白かった。
雑談程度に話をすることはあっても、やっぱりプレゼンテーションを聞くと、どういう研究をどんな方法でしているのかなどがわかりやすい。

この研究会は、デンマークのアールフスで開かれている院生主催の学会(去年からMISの生徒も何人か発表に行っている)に触発されて企画されたらしい。

日本の大学に比べると、ここではこのような学生主催の企画が多いと思う。
研究集会に限らず、研修旅行やフリーマーケット、チャリティやダンスパーティから就職のための企業訪問にいたるまで、さまざまな企画が学生主催でおこなわれている。
また、学生協議会のような機関があり、そういった企画に資金援助もおこなっている。

くわえて、勉強や研究を「みんなで」やるという気風が強いように思う。
もちろん、史資料を読んで考察するのは自分でするしかないのだが、意見を交換する、ディスカッションをすることに重きが置かれているように思う。アイスランド語の授業では、グループワークも多かった。
論文の指導教員との面談も、週に一回くらいが推奨されていて、 日本でそんな習慣を持っていなかった自分は、そんな頻度で会っても何を話して良いのかさっぱりわからない。

研究会では言語学から比較文学、神話学までいろいろなトピックが並んだ。
とくに印象的だったのは、言語学の生徒が、自分の話(Old Norse の 'ér'='you' が 'þér' に変わる時期や要因を考察)がそのままでは聴衆(言語学の徒は殆どいない)の多くにとって退屈であろうということを意識して、プレゼンの仕方を工夫していたこと。
できるかぎり絵や写真を入れたり、素人にも一見して考察結果がわかりやすいグラフや表を多用したり。
もちろん、こういうやりかたは、専門的知識のある人間には、逆に蛇足や議論の単純化に見えやすいので、一概に良いとはいえないかもしれない。
むやみに迎合しろというわけでもないが、発表を聞く相手や論文を読む相手のことを考えることは必要だと思う。
いくら重要なことを話していても、聞いてもらえなかったら意味がない。

今日の会は各発表20分ずつだったが、自分がとくに興味のない話題+聴衆の聴きやすさを意識していない発表は、たった20分でも疲れる。
あと、歴史学の「序論ー研究史ー史料分析ー結論」のような発表の型に慣れていると、それに当てはまらない、アイデアが全体に散らばっているような発表はやっぱり聞きにくいと感じてしまう。これは発表者のせいではないと思うが。

また、改めて気づいたが、MISにはゼミがない。
そのため、学期末に各授業ごとのプレゼンはあったとしても、自分の論文のテーマを発表する機会は、コースのプログラムのなかには含まれていないのだ。
私自身は去年、院生学会で発表したし、今日のような機会も企画される可能性はあるが、 それも生徒の自主性次第。

今年の後期には、毎週一回、ディレクターの先生と生徒でゼミのような時間が設けられていて、何回が論文についてのプレゼンがあったが、全員が発表するというわけでもなく、あまり有効に機能していなかったように思う。
また、発表の仕方や論文の書式など、研究の基本的な作法について「鍛えられる」場でもない。
自分はそういうことを、修士に上がってから、おもに研究室の先輩後輩関係のなかで学んだのだが、たとえば学部から直接このMISのようなコースに来た場合、どうやって覚えるのだろう?ヨーロッパや北米では、そういう点は学部のうちに鍛えられるものなのだろうか?

以上、雑感。
打ち上げで一ヶ月ぶりくらいにカールスバーグを飲んだら、一缶(500ml)で少し酔いが回った。
退化している…。

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