2010-10-06

Lífið er saltfiskur?


ソルトフィッシュ@イーサフィヨルド海洋博物館
干し魚に塩は必要なのか?

今日のランチはソルトフィッシュだった。
ソルトフィッシュは塩漬けにして乾燥させた魚(主にタラ)で、食べるときには水に漬けて戻す。
ずっと気になっていたのだが、中世アイスランドで主要な保存食だった干し魚には、塩は使われていたのだろうか?
リューネブルクの塩がハンザの繁栄に寄与したという話は有名だが、それがアイスランドにまで届いていたのだろうか?



今日、ちょうど考古学者のオッリ・ヴェーステインソンのチュートリアルを受ける機会があったので、聞いてみた。
とりあえず、中世の干し 魚skreið (stock fish) に塩は必要ないらしい。
頭を落として、開いて、風通しの良いところで干すのみ。
harðfiskur
現代のハードフィッシュに近い。

ただし、塩は少量だが島内で作られていた痕跡があるらしい。
海水からの製塩、もしくは燃やした海藻から塩を得ていた可能性が指摘されている。
加えて、「塩」という単語に関与する地名も、アイスランド内でいくらか見つかっているという。

アイスランドからの干し魚輸出の開始は、文献史料によるならば、14世紀の初頭。
この年代同定は、今後の考古学調査の進展次第で遡る可能性が高いようだ。
ただ、漁業と干し魚加工の痕跡を遺物から認めることができても、それが在地での消費に限られたのか、大西洋を渡っていたのかを確定することは難しいらしい。

アイスランドは対象外だが、Barrett, James, Cluny Johnstone, Jennifer Harland, Wim Van Neer, Anton Ervynck, Daniel Makowiecki, Dirk Heinrich, et al. 2008. Detecting the medieval cod trade: a new method and first results. Journal of Archaeological Science 35, no. 4: 850-861は、北大西洋・バルト海域各地のサンプルを比較することで、干しダラの行方を追うというプロジェクトの経過報告。
ロフォーテン諸島のタラの分布が主な焦点だが、文献史料の少ない地域・時代に果敢に挑戦し、かなりのポテンシャルを示している。

余談だが、ハードフィッシュは強いスピリッツに良く合う。
ちなみに、バターを付けるとさらに美味しい。最初に聞いたときは嘘だろうと思ったが。
一度食べてみると、14世紀にアイスランドからの干し魚輸出が盛んになったとき、バターも一緒に輸出されるようになったことの理由がわかったような気がした。

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