2010-10-08

Kenningar um sögur um Íslendinga

「アイスランド・サガ研究の方法論」
≫≫≫

'kenning' といえば詩語法の「ケニング」(代称法)を指すものだと思っていたので、theory の意味があるということにまず驚いた。
2010年秋期のMISの授業のひとつ。
人気が高く、MISの生徒以外の受講者も多いので、いつも教室の椅子が足りなくなる。教室変更してくれればいいのに。

おもに「家族サガ」「サーット」「同時代サガ」「司教サガ」の4ジャンルのサガを対象に、資料へのアプローチ方法を考える授業。
とくに、サガの成立過程をどう考えるのかに焦点があるようだ。
シラバスにあるように、6人の教師によるリレー講義である。

教師陣は以下の通り。
トルヴィ・トゥリニウス
ギースリ・シグルズソン
アールマン・ヤコブソン
ヴェーステイン・オーラソン
ウルヴァル・ブラガソン
アースディース・エギルスドッティル
ヘルガ・クレス

いまのところ、トルヴィ、ギースリ、アールマンの3人の講義しか聞いていないが、既に学者として定評を得ている人間が、それぞれの得意分野について話すので、非常におもしろい。

今日はアールマンの授業の後半で、「スネグル=ハッリのサーット」Sneglu-Halla þáttr がトピックだった。
「モルキンスキンナ」(1280年頃)所収(短い)と「フラテイヤル・ボーク」(14c末)所収(長い)の2つのヴァージョンがある。
ハラルド苛烈王シグルザルソン(1046-1166)をめぐる多数のサーットのひとつ。

授業中のトピックは多岐にわたり、しかも板書の仕方が完全にマインド・マップであちこちに飛ぶので要点がつかみにくかったが、「王のサガ」全般の話を交えて、アイスランド人とノルウェー王との関係、彼らがそれをどう表現したのか、という個人的に興味を引かれる話が多かった。

ハッリのサーットについては、作中の食べ物の描かれ方と、アイスランド・アイデンティティの関係に着目した、おもしろい小論も書いている。
> Ármann Jakobsson. 2009. Food and the North-Icelandic identity in 13th century Iceland and Norway. In Images of the North: Histories-Identities-Ideas, ed. Sverrir Jakobsson, 69-79. (Studia Imagologica 14). Amsterdom-New York. 
(質は悪いが、一応PDFはこちら
 
アールマン編の、ÍFの『モルキンスキンナ』は11月に刊行されるらしい。
同じようなことを1年前にも聞いたのだが。本人が言うのだから、多分今回は本当だろう。

ちなみに、アールマンの双子の兄弟スヴェッリルは歴史学者で(今はアイスランド大学歴史学科の講師)、妹のカトリーンは文部科学大臣。
アイスランド人のクラスメイトが、「めちゃくちゃ賢い家系」と評していた。

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