2009-10-23

Finnst þér gaman að læra forníslensku?

「古アイスランド語の勉強は楽しいですか?」
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今日は古アイスランド語の中間テストがあった。頭の中をパラダイムが浮遊している。
「古アイスランド語入門」は週2コマの文法の授業で、もはや古典といえるゴードンをテキストとしている。
» E.V. Gordon, An introduction to Old Norse, 2nd ed. revised by A.R. Taylor (Oxford: Clarendon Press, 1957).

授業は前半の文法解説と、後半のテキスト読解との2部構成で進む。
テキストの方では単に文の意味を取るだけではなく、単語ごとの文法要素を分析してゆく(品詞、性・数・格、人称・時制 etc...)。
予習は大変だが、とても訓練になる。

それにしても、知れば知るほどアイスランド語は文法要素の見本市のようだ。
基本変化にようやく慣れたと思ったら、アプラウトとかウムラウトとかブレーキングとかでまた色々とかたちが変化する。
 それでも、先生のハラルドゥル Haraldur Bernharðsson はとても楽しそうにアイスランド語の話をするので、かなり救いになる。

今週の授業では男性名詞 maðr (=a man) の不可思議な変化の理由を説明してくれた。
(cf. 現代語版変化表:Beygingarlýsing íslensks nútímamáls
例えば複数主格の mann-ir が menn になるまでには、以下のような「ストーリー」がある。
mann-ir > menn-ir > menn-r > menn-n > menn
(i-umlaut + syncope > assimilation)

こういう話を聞いていると、アイスランド語にはまる人たちの気持ちが少し分かる気がする。
たくさんの法則を駆使して不可解な現象を読み解く、ということ自体はよく出来たパズルのようで楽しいと思えなくもない。
あくまで謎解きを楽しむ時間があればの話だが。

クラスメイトのアイスランド語に対する習熟度もさまざまで、先生と互角に語学談義を交わす生徒もいれば、毎回のパラダイムの小テストに四苦八苦する者もいる(私は当然後者)。

そういえば今日は、テスト後にアールニ・マグヌースソン写本研究所(Stofnun Árna Magnússonar á Íslandi)の方に移動して(といっても同じ建物だが)、Codex Regius の本物を見ながら授業をするという粋な計らいがあった。

「王の写本」Codex Regius と呼ばれる写本はいくつかあるが、「スノッリのエッダ」の主要写本である GKS 2367 4to の方。
作成年代は1300-1325年。四折版で、ペーパーバックのゴードンより少し大きいくらい。
皮紙は黒ずんでいて装飾も少ないが、字体はびっくりするほど綺麗で、ぱっと見ただけでもかなりの文字が判別可能なほど。

さすがに有名な写本なので、クラスメイトのテンションも上昇気味だった。
1971年4月21日に、コペンハーゲンよりアイスランドへ返還された最初の写本のうちの一つ。
その際のセレモニーの様子は今もカルチャー・ハウスという博物館で見られるが、もう一つの「フラート島写本」が大きくて装飾も美麗なのに対して、Codex Regius の地味さは逆に目立つ。
しかし、その内容の価値は計り知れない。

現在はアールニ研究所ではなく、カルチャー・ハウス(The Culture House)で常設展示されている。

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