2010-01-04

Gleðilegt nýtt ár, og vormisseri hófst

新年あけましておめでとうございます。新学期も始まりました。
***

本来の春学期の授業開始は来週なのだが、 今年のMISには本編の開始前に一週間の集中講義がある。
タイトルは ”The Viking Mind"。
MISではなくÞjóðfræði(民俗/民族学)が主催している講義で、アバディーン大学の考古学教授 Neil Price が講師。


お昼休みを挟んで、90分×2回×4日=全8回の授業予定。
全講義への出席+最後のテストで成績が出るが、MA以上の学生にはさらに短いレポートが課される。
そして事前に読んでくるべき課題文献がやまほど、クリスマス前にすべてPDFで配布された。

初回の授業は「ヴァイキング」に関する諸定義(時代区分、地域、活動内容 etc...)の研究史の概観、そして彼らの神話や信仰実践をどう呼ぶか、などがトピックだった。
ヴァイキングの Religion から Belief system となって、Discursive spaceが最新の提言らしい。 
講義のタイトルが the Viking religion ではなく Mind であるように、人びとの日常生活に埋め込まれていた漠然とした精神世界をあらわそうという意図はわかるが、Discursive spaceともなると日本語でなんと訳せばいいのか不明。

もうひとつ力点が置かれていたのが、考古学的遺物の解釈について。
たとえば、昨年9月初頭にデンマークのLejreで発掘された2cmほどの像について、オージンなのかフリッガなのかフレイヤなのかで論争になっている。
>Old Norse News

歴史考古学=書かれたテクストと考古学的遺物とのダイアローグとはいえ、解釈の幅ははてしなく、アイデンティファイは容易ではない。
オージンかフレイヤかと争っていても、実際は深い意味のない、ただ人型を象っただけのものかもしれない。
そんな解釈の袋小路から抜け出て人びとの精神世界に近づくためにはどうするかーーというようなところで、次回に続く。

この講義のコーディネータの民俗学者テリー・グンネルも相当話がうまいが、講師のネイル・プライスも盛り上げ方がうまい。 …フィールドワークの成果だろうか?

ちなみに冒頭の画像はキリストなのかハンマーを持ったソールなのかで論争の末、今はソール像ということで落ち着いている銅像。
(約6.4cm, c.1000, Eyrarland (northern Iceland),  アイスランド国立博物館所蔵。
cf. Perkins, R. 2001. Thor the wind-raiser and the Eyrarland image. London: Viking Society for Northern Research)

*参考文献
» Price, N.S. 2002. The Viking way: religion and war in late Iron Age Scandinavia. Uppsala University Press, Uppsala.

» Price, N.S. 2006. "What’s in a name? An archaeological identity crisis for the Norse gods (and some of their friends)", in Andrén, A., Jennbert, K. & Raudvere, C. (eds) Old Norse religion in long-term perspectives. Nordic Academic Press, Lund: 179-183.

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