2010-03-07

Hugvísindaþing 2010

3月5日(土)、アイスセーブの国民投票で周囲がざわついている中、アイスランド大学では人文学部全体の学会があった。
Háskóli Íslands - Hugvísindastofnun - Hugvísindaþing 2010

金土の二日にわたって約130の発表がおこなわれたということだが、歴史学科のセクションだけ参加してきた。
テーマは「14世紀:衰退か革新か?」

Fjórtánda öldin. Hnignun eða nýsköpun?
'Með því að rýna í handrit og heimildir um 14. öld varpa fyrirlesarar nýju ljósi á bókmenntir og sögu þessa tímabils. Fjallað verður um togstreitu milli konungs og ráðamanna á Íslandi, hirð- og helgibókmenntir og 14. aldar handrit Njáls sögu.'
「14世紀のマニュスクリプトと史料を精査することによって、以下の講演はその時期の文学と歴史に新たな光を投げかける。王とアイスランドの役人との間の争論、宮廷・教会文学、14世紀のニャールのサガのマニュスクリプトに話は及ぶだろう」

Fundarstjóri: Ásdís Egilsdóttir, prófessor
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特にヘルギ・ソルラクソンの「14世紀の sóknarar の選出に関する闘争」に興味があって行ったのだが、予想はしていたが全編アイスランド語だと全く話の流れがつかめない。
パワーポイントやレジュメがあるものはまだマシだったが…成果が刊行されるのを待とう。

sóknarar は、王権受容以降のアイスランドの行政システムで、通常シュースルマン(行政官)の代理人とされている下級役人。
だが、ヘルギの発表とその後の質疑応答の雰囲気から察するに、sóknarar の定義についても異論は色々とあるようだ。

13世紀に比べ14世紀は等閑視されてきたが、最近アイスランド/海外を問わず、若手を中心に14世紀への関心が高まっている、と最初に説明されていた。
> 紹介された文献
» Lena Liepe, Studies in Icelandic Fourteenth Century Book Painting (2009)
» Henric Bagerius, Mandom och mödom : sexualitet, homosocialitet och aristokratisk identitet på det senmedeltida Island (2009)

その割には発表者に若手は少なかったし(1970年生まれのアールマン・ヤコブソンが最年少)、質疑応答で発言するのは大御所の先生ばかりだったが(グンナル・カールソンとかマール・ヨーンソンとか、トルヴィとか)、「14世紀」が研究会のテーマに選ばれるだけでも、アイスランド中世研究は「自由国」時代を超えて新しい領域へ向かっているということなのだろう。

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